Israel Japan | Business Guide | 2018

038 > High-Tech > 70 years of Israeli Innovation Israel-Japan > Business Guide > 2018 イ スラエルは何十年にもわたり、慢性的な貿 易赤字に苦しんできました。米国による経済 と軍事両面の支援と、海外のユダヤ系慈善 団体からの援助金に頼り、赤字を埋めてきたのです。 しかし現在のイスラエルは、国際収支が実質的な黒字 状態にあり、これにはハイテク産業の大躍進が大きく 貢献しています。 2017年、イスラエルの経済成長率は3.3％で、その多く はハイテク部門に起因しているといえます。ハイテク部 門はこの20年で、他部門の2倍以上のペースで成長を 続けています。 イスラエルのイノベーション庁は、ハイテク部門の雇 用は27万人におよび、労働力全体の約8.3％を占める と見ています。また、 GDP の20％近くを担い、イスラ エル経済で最も生産性の高い部門となっています。同 庁は、今後10年でハイテク部門の就労者を倍増する目 標を立てています。 「イスラエルが実質的に国際収支黒字国家へと変わ ることができたのは、何よりもハイテク産業のおかげ です。この10年で何百ものイスラエルのハイテク企業 が海外の企業や投資家に買収された結果、多額の資 本がイスラエルに流れ込むことになりました」と、イス ラエルのハイテク産業に詳しいハイファ大学の経済学 者、ダン・ペレド氏は話します。 イスラエルのハイテク企業に対する海外からの投資 が記録的な数字に 2017年は、ハイテク部門にとって特別な1年でした。過 去20年間にわたりイスラエルにおけるハイテク産業の 動向を調査、分析している国内屈指の研究所、イスラエ ル・ベンチャー・キャピタル・リサーチ・センター（ IVC リ サーチセンター）によると、外国企業によるイスラエルの ハイテク企業買収総額は記録的な240億 US ドルに達し ました。最高額は米インテルのモービルアイ買収で、153 億 US ドルが支払われています。2018年も、 KLA テンコ ール（本社：米国カリフォルニア州）による34億 US ドル でのオルボテック買収が3月19日に発表され、幸先の良 いスタートを切りました。 2017年、イスラエルの財・サービス総輸出額は1,024億 US ドルで、そのうち45％以上をハイテク関連が占めま した。ハイテクサービスの輸出が10％増加の237億 US ドルを記録し、はじめてハイテク製品の輸出を上回りま した。これは、2013年から44％の伸びとなります。内訳 で最大のソフトウェア／コンピューター関連サービス は15％の上昇で、ほぼ150億 US ドルに達しました。イ スラエル輸出協会は、この急速な成長は2018年も引 き続き見られるだろうと予測しています。 そもそもイスラエルがハイテク分野で成功したのは、 国内の優れた軍事技術とその民生技術への転用が大い に関係しています。実際、8200部隊をはじめとするイス ラエル国防軍の諜報部隊は、イスラエルのハイテク起業 家を数多く排出する「ゆりかご」として知られています。 イスラエルの ハイテク産業！ 2017年、財・サービスの総輸出 額1,024億USドルのうち45％を ハイテク関連が占める 成長を続ける イスラエルのイノベーション庁は、今後10年でハイテク分野の労働者を50万人まで増やし、 ほぼ倍増させる目標を提示しました。この計画は、女性やアラブ人、厳格な正教派ユダヤ教 徒、さらには、45歳以上のベテランエンジニアも労働力に組み込むことを柱にしています。