Israel Japan | Business Guide | 2018

065 イスラエルから日本への輸出　 15億ドル（電気機器、化学製品、研磨済み ダイヤモンド） 日本からイスラエルへの輸入　 11.6億ドル（自動車、化学製品、機械、電気機器） 歴史的な瞬間 イ スラエルは廃水を再利用が可能な水に変える再利用率が90％と高く、 水のリサイクルにおいて世界をリードしています。イスラエルの点滴灌漑 は、農業での水利用効率70％～80％という世界最高レベルを実現するの に役立っています。またイスラエルは、単位水量あたりの作物収量で世界一を誇り ます。逆浸透法（ SWRO ）を利用した世界最大規模の海水淡水化プラントがあり、年 間1.4～1.5億㎥の水を生産しています。1㎥あたりの造水が約0.52ドルと費用も抑え られており、費用対効果は世界トップです。淡水化された水は、市民生活で必要とさ れる量の50％にあたります。 単位水量あたりの作物収量が極めて高いイスラエル。浄水と水再利用の分野で数々 の飛躍的な発展を遂げ、特に海水の淡水化では世界で最も経済性に優れた方法を生 み出しています。また、その長年の実績を水の安全に取り入れています。 イスラエルは国際標準化機構（ ISO ）の専門委員会で幹事国を務め、危機管理や再生 水利用、再生水利用における支援システム、早期警報システムに携わっています。水 資源に関して国をあげて総合的なアプローチを採用した最初の国家でもあります。 日本の水 日本企業には海水淡水化や下水の排水処理などに用いられる水処理膜の技術で強 い競争力があります。このようなテクノロジーは数々の大規模な海外プラントで採用 され、現在では水処理膜の世界市場の60％を占めるに至ります。しかしながら、水処 理膜などの設備の市場は水関連市場全体の6.4％にすぎません。 水事業が初期段階で民営化されたヨーロッパとは違い、日本には水道水の供給を行 政に依存してきた歴史的背景があります。そのため、水道の維持や管理に関しては民 間に専門的な知識や経験がそれほどありません。 企業間で共有する戦略基盤がないため、これまで日本企業は水処理ソリューション事 業を海外で拡大することができませんでした。こうした状況を踏まえ、産官学による組 織横断的なコラボレーションや日本の戦略を一本化する取組みが進んでいます。 イスラエルの農業 農業生産は確固たる食糧安全保障を実現し、世界におけるイスラエルのイメージを 形作るうえで重要な役割を担っています。その特長は画期的なシステムの徹底した研 究開発に見られますが、これは主に、過酷な気候条件と土地不足・水不足を克服する 必要に迫られた結果なのです。 主な農業部門 肥料、農薬、灌漑、さまざまな種子や苗など、機械、獣医関連製品、食品添加物、プラ スチック製品、動物、農業アドバイス 農業関連企業は3種類に分類されます。 • 化学製品・機器の製造 • プロジェクト立案・推進 • 農業に関する専門知識の提供 イスラエルでは、ソリューションを提供する農業プロジェクト（顧客がすぐ利用できるよ うなターンキープロジェクト）の販売に向けた知識・技術・機器に関する企業間コラボ レーションが推進されています。この目的は農作物の質と量を高めることにあります。 日本の農業 ビジネスアナリストの予測によると、日本の AgriTech （アグリテック）市場は国際的 な成長拡大の準備が整った段階にあります。テクノロジーを活用したソリューションを 提供するアグリテック事業は、業界の需要に応える幅広い製品やサービスを対象とし ます。その結果、生産性の向上、コストの削減、エネルギー、水、農薬などリソースの使 用量削減、品質と在庫状況の改善などが期待されます。 日本全体で見ると農業分野は縮小を見せています。政府のデータによると、2014年 の主業農家数は170万戸で、10年前の220万戸から減少しています。その結果、日本 は食糧の供給を輸入に頼らざるを得ません。 日本政府主導で農作物の収量向上を目指す、農業の自動化技術の推進が図られて います。このことにより労働力不足も解消されます。 日本のテクノロジー企業は、国内外の市場で利益を得られる絶好のビジネスチャンス と捉え、農業技術に多大な投資を行っています。小規模なスタートアップ企業から、 三菱、富士通、パナソニックなどの巨大企業まで、さまざまな企業が参入しています。 また現在、日本の農業の現場では「ビジネスファーマー」や「アグリビジネス」が増え る傾向にあり、日本政府は、2025年までにその割合が現在の50％から80％まで増 加すると予測しています。 農業および水分野における日・ イスラエル協力の相乗効果 両国が手を取り合えば、国内外の生産拡大が可能に