Israel Japan | Business Guide | 2023
日 本は人口動態の影響により厳しい事業環境であるにもかかわらず、 米国、中国に次ぐ世界第3位の医薬品市場です。 日本は、世界一長い平均寿命と世界一低い乳幼児死亡率を誇っています。 しかし、 GDP の10%をヘルスケアに支出しているにもかかわらず、少子高齢 化により、日本の医療制度は深刻な財政難に陥っています。 日本の医療制度では、国民健康保険( NHI )制度のもと、誰もが医療に容 易にアクセスでき、医師による最低限の医療サービスを安価に受けるこ とができます。 処方薬市場は、慢性疾患の有病率の上昇、高齢人口の増 加、 CAR - T 細胞療法の「キムリア」やその他の高価な処方薬の需要および 採用の増加などにより、著しく成長しています。 ワクチン開発 ワクチンや生物学的製剤、あるいは主要な治療薬の開発需要が、日本の国 内市場の成長を後押ししています。2022年8月9日時点の新型コロナウイル ス感染症の状況は、感染者数が1,442万1,539人、死亡者数が3万3,825人で あると報告されました。新型コロナウイルスの感染者数の増加により、ワク チンの需要が増加することが予想されます。 2022年1月、中外製薬の「アクテムラ」は、日本において SARS - CoV -2によ る肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)の適応症の承認を取得し ました。2022年4月、武田薬品は、新型コロナウイルス感染症組換えタン パクワクチン「ヌバキソビッド®筋注」について、18歳以上の初回免疫接種 (1、2回目)および追加免疫接種(3回目)の適応で承認を取得しました。 日本の医薬品市場は競争が非常に激しく、武田薬品工業株式会社、ファイ ザー株式会社、中外製薬株式会社、 MSD 株式会社、第一三共株式会社など 複数の大手企業が上位を占めています。 日本の医薬品市場の2021年の総売上高は673億ドルで、2022 年は1.1%増の681億ドルになると見込まれています。(ちなみ に、2020年の総売上高は1,070億ドルで、これは円換算で前年 度比0.7%減でした。) 日本の医療機器市場は400億 US ドルで、世界最大規模を維持し ています。2013年以来、日本政府は、ヘルスケア産業を日本経済 の再生・成長戦略の要として推進しています。 毎年薬価改定 しかし、これだけ大きなシェアがありながら、毎年行われる薬 価改定の影響や販売需要の減少、投資コストの高騰による投資 利益率の低下などにより、海外企業にとって日本市場の魅力は 低下していくものと思われます。 その影響もあり、日本製薬工業協会によると、2016年から2020年 にかけて欧米で承認された176品目の新薬が日本に入ってこないといった「 ドラッグ・ラグ」の問題が、依然として市場の深刻な障害になっています。 日本の厚生労働省( MHLW )は、国民健康保険( NHI )が適用される医薬 品リスト(薬価基準収載品目リスト)の薬価を引き下げるため、「毎年薬価 改定」の実施など一連の薬価制度を導入しました。これにより、大手製薬 会社は、主要な医薬品の70%について、年平均2%〜4%の薬価の引き下げ に直面することになりました。2022年度の薬価改定では、大手製薬会社の 薬価が平均4%~5%引き下げられたと試算され、この傾向は現在も続いて います。極端な例では、年間売上高が1,000億円以上1,500億円以下で、予 内需と輸出で成長する日本 のヘルスケア産業 2013年以来、日本政府はヘルスケア産業を日本経済の 再生・成長戦略の要として推進しています | ドロール・ウォールファイレル 新型コロナウイルス感染症との闘い 2022年1月、中外製薬の「アクテムラ」は、日本において SARS - CoV -2による 肺炎(ただし、酸素投与を要する患者に限る)の適応症の承認を取得しまし た。2022年4月、武田薬品は、新型コロナウイルス感染症組換えタンパクワク チン「ヌバキソビッド®筋注」について、18歳以上の初回免疫接種(1、2回目) および追加免疫接種(3回目)の適応で承認を取得しました。 Israel-Japan > Business Guide > 2023 46 > ヘルスケア産業 > セクターレビュー
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